雑誌の特集号を活用

furuizo2007-04-10

 小説とも文学書、作品とも言いますが、この中の珍しい物を調べるときに役に立つのがこの雑誌。国文学の臨時増刊号「近代作家年譜集成」(昭和58年学燈社刊)。坪内逍遙から三島までの51人の作家の年譜集です。
 年譜で年表でないところがミソです。何年に生まれた何年に学校を卒業何年に受賞何年に何何を発表、が年表としたら、これは主にその行間の、執筆と離れた日々の記録です。だれと旅行した、誰々と交際した(男女を問わず)、何に興味を持った(音楽とか骨董品とか)、夫婦の危機から経済の苦境まで伝記をギューッと凝縮したように(ちょっとだけ文学的視点を持って)200余頁にまとめたものです。
 作家としてのきちんとした業績なら「新潮日本人名辞典」とか「日本近代文学大事典」(講談社)を引きますが、なぜ、どうして、どのようにしてこの作品が生まれたのか、を少しでも知って、珍しい本に接近する手がかりを得るには、大いに活躍してくれます。
 とは言いつつ、調べ物(仕事)と称して、ついつい引き込まれて読みふけってします雑誌である事は保障します。