「書誌学の回廊」で書誌に触れる

furuizo2007-04-25

 雑誌「現代」を何気なく読んでいて、「日知齋書話」という連載を見つけ、強く引き込まれ、その前後を読みたくて探したら、その連載をまとめたこの本に出会った。
 「書誌学の回廊」(林望著1995年日本経済新聞社刊行)がそれである。
 私が読んだのは「「古文真宝なる顔つき」であったが、古文真宝なる和本(それまでこの本の事はまるで知らなかった)それ自体の事どももエライおもしろいのですが、この本通読しますと、書誌学のダイナミズムへの誘導の本か、その深みへの導入本か、ひどく引きつけられる物があった。
 書誌学のプロの随筆かと手に取ったが、いえいえ、妥協を感じさせぬ用語使いからして、そのレベルの高さは、読んでいて小気味よい物でした。ちょっと読み手に緊張を強いる文、リズミカルな展開、どれを取っても嬉しい1冊です。
 ただ、書誌学に手を染めるのは、尋常なる技ではない、まず膨大なる量の世界を乗り越えねばならない。古本屋からの、学問としてではないアプローチで、ほっとしているところではある。