古本屋の参考書


 私の机の左横にある参考書の棚の一番下にこの「国書総目録」があります。岩波書店刊の参考図書の代表的な本です。初めて見る本、特に和本(私の場合はほとんどは初見ですが)恥ずかしながら殆どコレを使って何の本か大体のことを調べます。索引を入れて9冊の事典(全集)ですが、約50万点の本が掲載されています。まず書名で引いて2番目の分類(類と略されてますが)の、伝記とか和算とか仏教とかを手がかりに、そもそも題名から何の本か全くわからない本の当たりをつけます。版本(木版で印刷された本)でさえ印刷された題名(書名)が読めないことが多々あり、引く前の作業がいろいろと出てきて「国書」(本屋は略してこういいます)を開いてその本に出会ったときにはもうぐったりしたことが何度もあります。でも本屋の仕事はそれからその本の希少性(現在の出回り)とか本自体の価値とか保存状態(きれい汚いとか書込み破れなどなど)、さらに他店の売価などを考慮してとりあえずの(この1冊の)ゴールの「値付け」に至るのです。もちろん「国書」をひもとかずにわかる本ももちろんありますが、それは多くはごく簡単な本か以前に扱った本のみです。いま「国書」の写真を撮って一寸の一言ですがここまで書いてきて重い「国書」の一連の作業に思いが飛んでしまいました。写真の下にのりとインク壺が写っているのはご愛敬。